意識高い学生への目覚め
留年した僕は数日後、M先輩に飲みに誘われた。
M先輩は一つ上の学年だが、就活留年して僕らと同じ 16卒として就活している。
そんな先輩が誘ってくるということは・・・
M先輩「内定、出たよ」
「やっぱり!」
M「いっぱい出た」
「いっぱい!」
聞けば飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長中のベンチャーC社など、数社から内定をもらったそうです
「う、うらやましい…」
まあ僕は内定以前に単位をとらなきゃいけないんですが
M「でも…」
M「C社にはいかないかもしれない。起業してみたいんだ」
「起業!」
何かがおかしい。そう思いました。
僕が知っているM先輩は酒を食らい、女を食らい、
ゼミにも所属せず青春を謳歌する、
典型的な自業自得型リア充だったはずなのです。
M「起業は仲間と話進めてる。
学生の間にゼロイチの経験
しときたいからさ」
「ゼロイチ!!!!!」
なんかかっこいい業界用語 (?)を使うのを聞いたところで、僕は確信しました。
―この人は変わったんだ
―インターンを転々としたり志望業界がコロコロ変わって他の先輩に「ブレブレやな」と言われたりしながらも、自分を貫いていろんな経験をして、自分の未来を切り拓いてきたんだ。
「かっこいい…」
思わず口に出していました。
ただ実際の口調は
「かぁっくいい~~↑↑」って感じだったのですごい怒られました。
完全にあおってる感じでした。
しかし、とにかく僕の中で何かが変わりました。
―意識高いっていうのは未来のために挑戦や努力をいとわないこと。
―それを馬鹿にするのは、「努力なんてかっこ悪い」と斜に構えていた中学生のころと変わらない…
「俺…いや私、意識高くなります」
「インターンとかボランティアとかバックパックとか、なんか意識高い系みたいでヤだなって思ってたこと全部やります!」
M「いや全部はむりだろ」
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「たしかに湯水のごとくわいてくる」
「そして何からやったらいいかわからん。やっぱやめようかな」
K太郎「ねえ…」
彼は一緒に飲んでいたK太郎くん。就活うまくいってない同期の代表です。
K太郎「俺もバックパックやってみたいから、一緒に行かない?
・・・!!
こうして、僕、いや私の、意識高い学生への道が始まった―――